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「白いもの」

ずっと気になっていた本がゆっくり読めました。

ハン・ガン作の「すべての、白いものたちの」。

作者はノーベル文学賞を受賞した韓国の方なのですが、そんな大きな出来事がなければ私はおそらく名前も知らないままだったと思います。

 この本は、はじめに白いものがいくつか挙げられていて(おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり…と続きます)それらに関連するエピソードが散文的に順に書かれています。彼女はその言葉たちに白いガーゼをかぶせたかったが、果たして隠していいものなのか、と思い、この本を書き始めた、と記しています。

「触れられない傷を、ないものにするのをやめる」ということだったのだと思います。

 いわば作者の喪失と再生の物語なのですが、読者である自分自身を投影し、「白いものについて思い浮かべるだけでも記憶が満ち溢れ、こぼれ、ありとあらゆる感情がほとばしって」くるのを感じました。この本を通して、わたしたちそれぞれの記憶の中の「白」を思い浮かべるだけで、だれのものとも取り替えられない、自分だけの「白」の物語が完成するという(もちろん未完でもあるのですが)体験をしました。

私も「白いもの」をいくつか思い浮かべてみました。

白い犬

お米

小さな歯

白い砂

救急車

 

これだけ並べても、あいまいで象徴的ではあるものの、自分の想像力をかきたてられます。「白」には、清潔さや静けさというイメージがありますが、私の中ではなつかしさと、そして喜びも悲しみもすべてが包まれるような色でもあるように思うのです。さらに年齢を重ねるごとに、「白いもの」への意味や感じ方も変化していくことでしょう。

 みなさんは自分の中の「白いもの」は何が浮かびますか?きっと自分だけの大切な物語が浮かびあがり、白と白の記憶がつながっていくのではないかと思います。 

                                    O.M

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