サービスを「カスタマイズする」ということ ―ファストクラス搭乗記―
COVID-19拡大以降の生活・行動・考え方はさまざまに変化しました。
わたしたち医療従事者は, 技術の向上や新しい知識を身に着けるため,研修や学会に定期的に参加をしています。
それらもここ数年でオンラインでの開催という形式が通常というようになりました。
先日参加した学会は,北海道にて現地開催ということもあり,ひさしぶりに飛行機を利用しました。出張の際は,できるだけ予算を抑えていくために,ルートや移動手段などあれこれ調べるのですが,今回,飛行機の部分に関していえば,LCC一択です。LCCとは,ロー・コスト・キャリア(Low Cost Carrier)の略で,日本語では,「格安航空会社」になります。
このキャリアの特徴を一言で表しますと,「サービスがシンプルな代わりに格安」ということです。 会社名をあげますと,例えば,ピーチ,スプリングジャパン,ジェットスターなどがこれにあたります。
一方で,安さが売りといえども,購入に至るまでにたくさんの落とし穴(私がそう思っている)がありまして,何段階かサービスを選択する必要があります。例えば,機内食の有無,予約の変更・キャンセルを可能にしておくか,座席指定をするか,手荷物の重さはどれくらいか,など。これらをシビアに選択していかないと,結局ローコストといえども,FSC(Full Service Carrier)フル・サービス・キャリア,つまり従来の航空会社と同様の運賃に跳ね上がってしまいます。それらのサービスは従来の航空会社では,元々のフライト料金に組み込まれ,一律に提供されています。つまり,LCCは,サービスをフルカスタマイズできる,ということになります。
「何を快適,最適だと思うか」というのは人によって,旅の目的によって,確かにそれぞれでしょう。移動さえできたらよい,と思う方もいるでしょう。一方,機内ではできる限り快適に過ごしたい,という方もおられると思います。
今回は2時間ほどのフライトですし,極力荷物も減らし,予約時間を変更することもないだろうと賭け,サービスをほぼ選択しませんでした。最適な選択ができたと思いました。
はなしは変わりますが,デイケアリサーフの特徴のひとつとして,プログラム数の多さがあります。40種類以上のプログラムを提供しております。デイケアはさまざまなバックボーンをお持ちの方がご利用されます。お一人おひとり,ご自身のニーズ,状況にあわせて,それらのプログラムをカスタマイズしていただき,ご自身に最適なデイケアとして利用いただきたいという思いからそのようにプログラムを多様化しております。
飛行機の話からデイケアの話にもっていくとは,相撲の決まり手でいったら下手な小手投げのようで,流れに少々無理があるのでは,と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,気のせいです。今後も,さまざまなプログラムを提供し,できうる限り,みなさまのサポートとなれましたらと考えております。
最後にひとつ,今回私が学習したことを書いておきます。サービスの提供をことごとく無くし,ローコストに抑えたところまではよかったのですが,500円の追加で,「ファストシート」という座席指定ができました。ファーストクラスなんて今後搭乗することもないだろうからという安易な考え,勘違い,そして,いつもの興味本位(肝心なところでよく顔をだしてきて,従うとトラブルや面倒につながることが多い)に負け,選択しました。即決です。しかも往復。実際,座席は確かに広く,他の2倍以上足を伸ばせるスペースがあります。一方,広い理由は,緊急時の避難窓の横であり,その通路ということでした。つまり,緊急時は,その座席に座っている人はCA(キャビンアテンダント)の指示に従い,非難誘導をするという役割がありました。また,すぐ目の前に向かい合わせでCAさんが着席されています。さらに,緊急時の避難の通路を確実に確保しておくため,荷物の置き方や持ち物に対して,適宜厳しい指導が入ります。シートの上に置いてあった避難誘導の仕方の説明書も,ちらっと見て,戻そうとしましたら「大事なことですし,最後までしっかりお読みください」との指摘をうけました。
足だけはのびのびと伸ばしながら,「ここは,身体的な拘束はないけれど,精神的な拘束がある場所ということなのだな…」と思いながらCAさんの視線を気にしつつ,着席しておりました。
ファーストシートではなく,ファストシート。後で調べると,つまり,先頭に座っていますので,着陸後一番先に外に出られる,ということらしいです。それがファスト。ただ,LCCの降り場は空港から離れていますので,結局その後,空港へ移動するため,みなで同じバスに乗車します。大喜びで張り切って一番に外に出られたからといって,という感じです。
それでも,よい経験を500円で得られました。ファストクラスをカスタマイズしてよかったなと今では思います。
K.M.