最近わくわくしたこと
心理職をしているせいなのか、周囲の人たちから「気分転換はどうしているの?」「没頭できる趣味など持っているの?」などと聞かれることがよくあります。
振り返ると、20代終わり頃までは好きなこともたくさんあって、アクティブな方だったと思うのですが(一人で旅行したり、北海道や沖縄をバイクで1周する、というなかなかの冒険をしていた時期もあります)…子育てが始まると次第に趣味だった一人旅にも行かなくなり、バイクもただのお荷物になってしまいました。
子どもが成長し、少しずつ自分の時間が取れるようになっても、以前のように「能動的」に動くことが減りました。特に近年はコロナ禍も相まって、読書や映画鑑賞などの時間は取れても(それが悪いわけではないのですが)、ずいぶん「受け身的」な時間の過ごし方になっているな、と感じていました。
そんなタイミングで、この夏九州の学会に参加しました。
学会はもちろん勉強になりましたが、同行した加賀先生から、「関門海峡(海の下)に、門司と下関をつなぐ通路(関門トンネル)があり、そこを歩いてきたことがある」「海の下にある通路だと思って歩くと、なかなかスリリングだった」などと楽しそうな体験をお聞きしました。「近くだし、ぜひ行ってみたら?」と、ご丁寧に鉄道の地図まで貸していただき。ちょうど大河ドラマの「鎌倉殿」にハマっていて、関門海峡は壇ノ浦の戦い(源平合戦)の場でもあったため、地図を眺めながら行ってみたい気持ちがむくむく湧いてきました。ちょっとミーハー?
学会終了後、いざ出かけてみると、久しぶりの自由な「一人旅」的な解放感と同時に、知らない街を歩く好奇心と不安が入り交ざったような、あの「北海道一周」をした時のような「わくわく、ドキドキ」する懐かしい感覚が沸き上がってきました。
門司港駅に到着。レトロな駅や街の雰囲気も素敵で、海もきれいです。ゆっくり街並みを歩きたいのですが、それは帰りにとっておいて、まずは関門トンネル人道入り口に急ぎます。
関門トンネルの歴史は古く、その開通は1942年(昭和17年)7月、とあります。世界最初期の海底トンネル(諸説あり)で、なぜ戦時中に造られたかというと、海上の運搬船が敵軍に狙われてしまうので、本州と九州間の物資や兵員、兵器の運送を比較的安全に行うためであったそうです。今ではのどかな風景ですが、「戦」との関連が強い場所なのだなあ。
全長780メートルの歩行者用海底トンネルは、古くささ(失礼…)もあり、なかなかシュールでした。上が車、下が人道と二重構造のトンネルになっています。すごい技術力!
それにしても「海の中」を歩いている、というのはとても不思議な感覚で、やはりスリリングな体験でした。人気もまばらなので余計に…。帰りは船でしたが、海面を見つめながら「この下を歩いて来たのか」と、しみじみ。思いがけず久々に体験できた「わくわく」、いわば「〇〇歳、真夏の大冒険」でした。 O.M